ハードディスク用リムーバブルケースの概要

5インチベイ後付け用HDD用リムーバブルケースの歴史は古く、前世紀末の1990年代初頭にはほとんど今と変わらない構造の製品が発売されており、IDE接続及びSCSI接続の構造及びコネクタなどの部品などは2004年現在と殆ど同じで完成度と信頼性はその変わらない歴史の長さからも伺える。

2000年頃までハードディスク用リムーバブルケースは一般的にはそれほどメジャーな製品ではなく、企業を除くと個人では複数のPCを所有し、多数のHDDを抱える人やRAIDなどを構築するなどのヘビーユーザーの一部に限られていたが、デジタルカメラの普及やMP3、極めつけはMPEG2などによるデジタル録画の普及とハードディスクの大容量化と低価格化によって、個人で扱うデータ量は飛躍的に増大した事から、リムーバブルケースが一躍注目されるようになった。


リムーバブルケースの基本的な構成図

本来PC本体に内蔵する記憶装置(HDD等)その他を5インチベイ等の拡張ベイを利用してカセットのように抜き挿し出来るようにするするのがリムーバブルケースである

リムーバブル化によるメリット
ハードディスクの容量がなくなっても、インナーを入れ替えるだけなのですぐに交換できる。
テレビ録画用途ならビデオカセットと同じ感覚で入れ替えできる。
HDD単位で入れ替えが出来るのでデータの整理と管理が楽。
接続構成を選べばPCの電源を入れたままHDDを交換できる。
ケース外の空気に触れられる為、HDDには環境的に良くなる(冷えやすい)※リムーバブルケースに通気口があれば

リムーバブル化によるデメリット
接続方法や製品によっては意外と高価。
コネクタなどの部品と接点増加による接触不良の可能性がある
ファンやハードディスクのの音が気になる場合がある

また、接続種類や方法によって導入コストや使い勝手などそれぞれメリットデメリットがある。

個人用途で代表的なIDEハードディスク用の接続種類

接続種類 導入コスト 速さ 互換性 ホットスワップ 接続の汎用性
USB 1.0 安い 遅い
USB 2.0 やや安い ちょっと遅い ※2
IEEE1394 高い 少し速い ※3
IDE 安い 速い ×
SATA 速い ※4 ※1

※1 コントローラチップに依存
※2 HDD側に使用している変換チップによっては相性問題が発生する場合がある
※3 HDD側に使用している変換(基板)チップによっては137G以上の利用が出来ない
※4 IDEハードディスクを変換基板でSATA化した場合。初めからSATAハードディスクを利用する場合は問題が無い。

■各接続種類のメリットと注意点
・USB 1.0 
殆どのPCに搭載されており、導入にお金が殆どかからないが、今となっては非常に遅い上に対応したリムーバブルケースはUSB 2.0を購入するしか製品は無い。実質非常用?

USB 2.0
最近の殆どのPCに搭載されており、導入にお金が殆どかからずスピードもUSB 1.0と比較した場合は圧倒的に速いが、チップの組み合わせによっては不具合がある。

・IEEE1394
USB 2.0と比較した場合、比較的速いが、変換機盤など対応機器が意外と高価で製品によっては137G以上のハードディスクに対応していないものもある

・IDE
PCに必ず搭載されており、IDEリムーバブルケースも安い物が多く出回っており非常に安く導入できるが、一部の高機能型マザーボードを除き拡張カードを使わない限り最大接続台数は最大4台までと少なく、マスター/スレーブと言った設定の煩わしさや、ケ−ブルの取り回しの悪さがある。ホットスワップには規格的に対応しない為、安全、確実な入れ替えにはPC本体の電源OFFが必要。

・SATA
速度も速いが、最新のPCには大抵はチップセットに内蔵されている。ただし、チップセット内蔵型は大抵ホットプラグには対応しない為、安全、確実な入れ替えにはPC本体の電源OFFが必要。SiliconImage製チップによる組み合わせの場合、ホットプラグには「ハードディスク認識=自動/取り外し=手動」で対応する。>>リムーバブル化したSATA接続でのホットスワップの手順

SATAチップ ホットプラグ

※インテル(865、875)チップセット内臓SATA接続の例
デバイスマネージャからハードウェアの変更のスキャンを実行して手動で認識させる事は出来るが、PIOモードで認識か?CPU負荷が高くなりパフォーマンスが著しく低下する場合もある。

※SiliconImageの場合、ホットスワップにはPC側、ハードディスク側、供にSiliconImage製チップで組み合わせる事が前提。

※Marvellチップの場合、ハードディスク認識は組み合わせによっては自動で行われる場合があるようだが、正常に動くかどうかは不明で問題が出る可能性がある

2004年3月現在

インテル内蔵 ×865、875)
SIS内蔵
SIS 180 ×
VIA内蔵 不明
nVIDIA内蔵 不明
ALi内蔵 不明
SiliconImage
Marvell △自動認識は?

・リムーバブル化したSATA接続のファイルシステムの管理方式の注意点
 
Windows 2000以降から、ファイルシステムの管理方式に「ダイナミック ディスク(dynamic disk)」と呼ばれる、従来と異なる管理方式が追加されている。これに伴い、従来の管理方式は「ベーシック ディスク(basic disk)」と呼ばれるようになった。
ダイナミックディスクでは、パーティションを再度作成し直すことなく、異なるディスク上や追加されたディスク スペース増加分などの不連続な部分でも格納されたファイルを維持したままパーティションの容量を広げ、空き容量を増やせると言う便利な管理方式だが、取り外す事が前提のリムーバブル化したHDDで「ダイナミック ディスク」を導入すると恐ろしいことになるので管理方式は必ず「ベーシック ディスク(basic disk)」を選択する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


内部構造(参考例VP-410LS2FU-100/133
IDE接続タイプであればConverter Board(変換基板)が豊富に販売されており、それらを利用する事によってUSB、IEEE1394、SATA等の様々な規格に対応することができる。


注意する個所

REARFRONT FAN
リムーバブルケースに使われている小型の4cmFANは耐久性は高くない。また音も五月蝿い場合が多く、しばらく使用すると異音を発したりする物も多い。
HDDの温度が高くならないようならFANを外すなどして使用しないようにするか信頼性の高そうなFANと交換する。

IDE Flat CableConnector
データのコピーなどで異常に時間がかかる場合やパフォーマンスが低い、「遅延書き込みエラー」や認識に失敗する場合、IDEフラットケーブルが不良の場合の可能性も稀にある。
新品のケーブルなどと交換し確認する。IDE接続でリムーバブルケースを利用する場合はできるだけ信頼できるケーブルを使うのが望ましい。
SATA接続の場合はこのような可能性はコネクタの破損(不良)意外では殆ど起こらないので、インナー内のケーブル及びコネクタを疑う。

Inner Flat CableConnector
「遅延書き込みエラー」や認識に失敗する場合は最後にこのインナーのケーブルやコネクタの不良を疑ってみる。マザーボードに直で接続して問題ないようならその可能性は高い。
またインナーのフラットケーブルは非常にデリケートなので抜き差しなどは一度インナーにHDDを内蔵したらそれ以降はあまり行わないのが望ましい。もし行うときは慎重に行うこと。

USBやIEEE1394接続ではそれらのチップや基板とその接続方式及びHDDとの相性などに問題がある場合が多いのでまずそれらがまともかどうかを確認する。

寸法(参考例VP-410LS2FU-100/133
規格自体は5インチ(1インチ≒ 2.5cm )と言いますが、5インチと言うのはメディアのサイズ(当時のフロッピーディスク)の事で、それを扱うドライブのサイズとは違います。※下記寸法はVP-410LS2FU-100/133実測値です。



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